当店について
最初の月は3個売れた。友人2人と、見知らぬ誰か1人。
2019年の秋、中村 葵員を辞めて台所で石けんを作り始めた。最初のバッチはひどいものだった。苛性ソーダの計量を間違えて、触ると手がぬるぬるする、いわゆる「スーパーファット過多」の失敗作。それでも捨てずに使った。泡立ちは悪いが、洗い上がりは妙にしっとりしていた。その感触が忘れられなくて、次のバッチを作った。
屋号の「Quartz Blend Gate」は、石英(クォーツ)を最初に使った日に思いついた名前だ。石英の粒を石けんに混ぜると、ざらつきが出て、スクラブ効果が生まれる。「ブレンド」は素材を混ぜること、「ゲート」は台所の入り口に立てかけていた木の扉から。意味は深くない。ただ、その日の記憶が詰まっている。2020年の春にオンラインショップを開き、最初の月は3個売れた。友人2人と、見知らぬ誰か1人。
今は東京・蔵前の小さなスタジオで作っている。棚には常時10〜15種類の石けんが熟成中で、窓際の光の具合で乾き具合を確認する。道具はステンレスのボウルと、古いハンドブレンダーと、木の型。特別なものは何もない。月に一度、ワークショップを開く。4人が限界で、それ以上は増やすつもりがない。
一度のバッチは最大36個。それ以上は作らない。
熟成期間は最低6週間。短縮したことは一度もない。
着色料、香料(合成)、防腐剤は使わない。
包材にビニールを使わない方針を2019年から続けている。
石と植物と、毎日の泡。
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